活動記録
 
 
     
 

モンゴル第5次遠征報告
〜 オノン川のタイメン釣行と花の宝庫散策 〜

 
村上潤(48年卒) 
KFCによるモンゴル遠征は2005年のチョロート川から始まり今回で5回目になります。
 
 【期間とメンバー】 
  平成24年7月2日(月)〜7月9日(月)
  岡田重元(38年)、山中統一郎(42年)、村上潤、
  岡田さんの奥様とご友人・・お花見チーム
 
今回はお花見チームとの混成隊ということで、途中行程は歴史や文化に触れながら観光、そしてモンゴル奥地での植物観察も兼ねての釣り遠征となりました。
 

 オノン川を見渡せる高台にて
  (右側3名はドライバーと釣りガイド)

目的地は東モンゴル。かつてチンギスハーンがモンゴル帝国を興した地とされているビンデルのツーリストゲルがベースキャンプ。そこから更に北上しロシア国境近くのオノン・バルジ国立保護地帯にある花の宝庫を散策、並行して流れるアムール川水系のオノン川、バルジ川でタイメンを狙うという計画です。ウランバートルから未舗装路を北東に数百キロ、ビンデルまでは2日掛かりの行程です。ビンデルのゲルに3泊。釣りは実質2日間の短期勝負でした。
しかし自然相手は難しい。初日の朝こそ釣りになったものの、上流での大雨の影響で次第に川が増水。
2日目は、魚がどこに消えたのかアタリすらありませんでした。結局目的のメーター級タイメンには巡りあうことができませんでしたが、釣り初日の朝いきなりヒットした80cmクラス1本と、レノックやパイク系の魚など何本かに遭遇できたことに満足すべきなのでしょう。1日ずれていたら釣果ゼロだったかもしれないのですから。

 
東モンゴルを走る
【写真左】このような未舗装路が何百キロも続きます。分岐点には標識もなく、運転手の方向感覚だけが頼り。間違えたことも度々。そのたびに草原をショートカット。
【写真中】GPSも使うのですが、自分がどのあたりにいるかがわかるだけ。地図自体が不完全なので、日本のカーナビのようには行きません。
【写真右】ショートカットの途中、湿地でスタック。かなりの重症。他の車は全く通らず、運転手は裸になり、我々も泥に浸かり総力をあげて自力脱出。2時間以上かかりました。
 
【写真左】丘の上のオボー。風習にしたがい右回りに巡回し旅の安全を祈願しました。
【写真中】道を尋ねに立ち寄った遊牧民のゲル。パラボラアンテナ、ソーラーパネル、発電機を装備。きっとゲル内にはTVやPCもあるのでしょう。意外にIT化が浸透していました。
【写真右】草原ではあちこちでスコールが発生。この雨が、釣り不能になるほどの増水をもたらすことになるとは、この時点では夢にも思いませんでした。
 
【写真左】水深1mくらいまでの川には、そのまま突入。ドアの隙間から水が入ってくる前に渡り切ってしまいます。
【写真中】オノン川には橋がなく、対岸まで張られたワイヤーを人力で引く”浮き筏”で車を運びます。車の積み降ろしは、当たり前のように地元の子供が仕切っているのが驚きでした。
【写真右】地下資源が豊富な国だけあって、水晶やメノウ、その他宝石類と思われる鉱物が道路脇にも露出していて、採取し放題。でも残念ながら資源類は国外持ち出し禁止のようです。
 
オノン川でタイメンを狙う
【写真左】まだ、それほど増水していなかった釣り初日。釣り初めて30分でいきなりヒットしたのが、これ。飽食前の季節だったためか痩せ気味でしたが、初タイメンなので大満足。結局タイメンはこの一本だけでした。
【写真中】ルアーは40年卒の小平先輩のご子息ビルドのザンマイミノーでした。ところで、釣りガイドにどんなルアーを使っているか聞いたところ、ガイドのルアーボックスから、大型スピナー(ABUのドロッペンを大きくしたようなもの)を見せてくれたのにはビックリ。来年の秘密兵器決定。
【写真右】他にはこのサイズのレノックが5本。これは、アユを模したミノーに良くヒットしました。
 
【写真左】キャンプから車で10分ほどのオノン川で、朝4時から朝食まで朝マズメの釣り。
【写真中】日中は車2台に分乗し、女性陣はお花見ハイキング。岡田さんはお花見チームに付き添いで残念ながら釣りはお預け。「大きいのを釣ってきてね!」という岡田さんのエールに送られ、私と山中さんは一行から離れ、増水の少ないバルジ川を釣り歩きましたが、小型のレノック数匹のみに終わりました。
【写真右】夕食後は21時過ぎまで薄暮の中での釣り。普段なら絶好のタイミングなのですが、増水はひどくなる一方。アタリも途絶えてしまいました。
 
【写真左】翌日は増水を避け小渓のバルハ川へ。ガイドの話ではアムールトラウトがいるとのことでしたがまたも空振り。(アムール水系のマス類の中で最も美しいらしい・・)
【写真中・右】岡田さんが初日に釣った50センチくらいのパイク系の魚(名前は不明)。この魚は、日本からわざわざ持参したネットで干物になりました。
 
ビンデルは花の宝庫
一斉に咲く花の種類の多さには驚きです。ここはロシア国境からわずか数十キロの地点。オノン・バルジ国立保護地帯の中、海外のツーリストが入ることがないとっておきの場所です。ハーブ類も多く、車を降りると香りがいっぱい。知られざる薬草も沢山あるとのことでした。
赤や黄色の花の群落、色々な花が咲き乱れている場所、湿地帯などお花畑自体が多様なので飽きることがありません。
【写真右】広大な草原の中でランチ。我々の他には誰も見えません。
 
【写真左】見渡す限りの赤一色のユリ群落が大地を覆っています。日本とは規模が違います。
【写真中】次のお花畑を目指して車で移動。一面キスゲの草原がはるかかなたまで続いています。
【写真右】写真手前の赤い花はレッドリスト掲載種とのことですが、ここではたくさん咲いていました。
 
 
モンゴルで見る星空
モンゴルまで来て釣りだけでは勿体ないですね。ここは世界で最も星のきれいな国の一つだそうです。
【写真右】今回は、満月と重なったので最高の条件ではありませんでした。月が昇るまでの僅かの時間でしたが、地平線まで続く星空は日本では見たことがない光景です。
【写真下】夜明け前は、木星と金星が明るく輝き荘厳な風景となりました。
 
 
野生生物たちとの出会い
定説どおりモンゴル人の視力は双眼鏡並みです。遠くの動物を目ざとく指さしてくれます。草原のタルバガン(マーモットの仲間)、初めてみる野鳥類など車窓から目が離せませんでした。
【写真左】写真はアネハツル。小型ながらヒマラヤを越える逞しいツルとして有名らしいです。ペアや子連れがよく見られました。
【写真中】木の上にコウノトリの巣。親鳥はいませんでしたが幼鳥が不安げに我々を見下ろしていました。
【写真右】空中で30秒以上もホバリングするバッタ。風をうけ空中で鳥のように漂う姿は優雅そのものです。岡田さんはこのバッタをエサに、飛ばし浮きによる新しい釣り方に挑戦するつもりで、日本から虫取り網と虫かごまで持参していたのですが、増水の為、この企てもボツとなりました。
 
快適だったツーリストゲル
ツーリストゲルに4泊、コテージに1泊、ウランバートルのホテルに2泊。羊肉中心の食事に後半は私の胃はもたれ気味でした。
【写真左】ゲルの中にはベットが3つ。気温が適度な季節であったこともあり結構快適でした。
【写真中】羊肉の塊と野菜と焼けた石を鍋に入れ蒸し焼きにしたホルホグ料理。最高のご馳走です。(鍋の中に黒い石が見えます)
【写真右】地元の少女が最後の日に民族衣装で着飾り、民族歌を歌ってくれました。この少女は日本人の前で歌うのを何日も前から楽しみにしていたとのこと。我々一同とても嬉しくなりました。
 
その他いろいろ
いくつかの史跡、芸術、歴史スポットにも立ち寄りました。今回遠征のコーディネーターのニンジンさんから各所でレクチャーを受け、モンゴル文化に対する理解を深められたことは、普段の釣り旅行では得られない大きな収穫でした。
モンゴルは世界有数の恐竜化石発掘地。写真は撮れませんでしたが、ウランバートル自然史博物館の実物恐竜化石はマニアでなくても一見の価値あるものでした。
【写真左】高さ40mの巨大チンギスハーン像。
【写真中】チンギスハーンが決起した聖地クリルタイ史跡の前で、ニンジンさん(中央)からモンゴル史のレクチャーを受けました。
【写真右】モンゴル仏教の総本山ガンダン寺院も見学。
そして最後はモンゴル国立劇場での民族舞踏団の鑑賞。今回の遠征の締めくくりにホーミー(遊牧民の喉歌)を聞くことができたのは感動ものでした。
 
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私にとって初のモンゴル遠征。普段は海の釣りがメインなので、「どんな道具を揃えれば良いのか、ルアーにしても揃えるには結構なコストとなりそう・・」などど手探り状態で準備開始したのが6月初旬。
そんなおり、かつてモンゴル遠征に参加した杉山先輩(42年卒)から頑丈なロッドケース、細谷先輩(42年卒)からは実績付きのたくさんのルアー、簑島先輩(43年)からはこれまたメータータイメンの実績があるロッドなどなど、心強くなる道具類が「預けておくよ」というありがたいお言葉とともに届き、タイメンを釣ってみたいという気持ちを後押ししてくれました。
そして、満足のうちに遠征を終えた今、先輩方がこれまでの遠征で培ったノウハウやモンゴルの人達との繋がりを少しづつでも広げるべく、早くも来年の遠征計画に思いを馳せています。

     
 

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