活動記録
 



モンゴル秘境に遊ぶ会 見聞録

2005年6月11日 〜 6月20日
記録係:赤羽 正己(S45年卒)

今年の2月半ば過ぎに、岡田先輩から「アラスカかモンゴルに釣りに行こう」という呼びかけメールが私めに送られてきたところからこの物語は始まります。
メールには、「何を釣るのか、現地ではどんなことをして楽しむか、何を食べるかなどなど、参加候補者に集まっていただき話し合うとともに大まかな人数と時期の目安をつけたいと考えます。」とのこと。
「ん?モンゴル?」蒼き狼チンギスハーン、横綱朝青龍の生まれ故郷くらいの知識しかない私には、モンゴルでいったいどんな釣りをするんだろう、釣りが出来るような川があるんだぁという驚きと言うか興味が湧いてきたのでありました。
同時にアラスカのキングサーモン、スチールヘッドを一度は釣ってみたいと以前から夢見ていたものの、6月というのは会社の新年度スタートの月でもあり、行きたい気持ちを掻き立てられつつ、行けそうもない、と心はハムレット状態のまま、3月3日に三田の吉田に顔を出したのでありました。
すでにほとんどの方が飲み、かつ喰らいながらアラスカだぁ、モンゴルがぁ、時期は6月が最高とかいやいや9月こそ、等々大いに盛り上がっておりました。頃合を見計らって、岡田さんがお話を整理整頓。
結果、井上・横田先輩の熟年グループは坂本先輩のコーディネートで6月末頃まず、アラスカを荒らした後、9月にモンゴルに行こうじゃないのという、なんとも贅沢な案になり、もう一つは岡田さんが筆頭の壮年グループで、山中さんのコーディネートで6月のモンゴルを楽しもうということに落ち着いた次第。
まず、連絡網をメールでしようとの山中コーディネーターの発案でメーリングリストを作り、やり取りが始まりました。
山中さんから電話があり、「札幌にいる星野も行くんじゃないか?声をかけてよ」とのお達し。
星野も新たに札幌の会社の社長さんになったばかりで、株主総会が6月25日。
さすがにその前後はダメだけど、「行こう、行こう」。
もともと行きたい気持ちがあるのを理性?で押さえつけていた私も、もういけません「今は今しかないんだ、こんな機会は二度と来ないに違いない。自分がいなけりゃいないで社員が育つ良い機会だ」と勝手な理屈をつけて行くことに決めたんでありますよ。
それからはもう、モンゴル、モンゴルの毎日のようなものでありまして、コーディネーターの山中さんは勿論、岡田さん、細谷さんなどモンゴル情報、釣り情報を世界中から集めて送ってくるのを、仕事を二の次にして読み耽ったんであります。
年度末で来期の計画(数値目標とか方針など)を考えていてもモンゴルのことのほうが先に浮かんできてしまうのは結構つらいものがありました。
さまざまな情報から、メータークラスのタイメンをフライで釣ろうと心に決めた私は、女房に内緒でタイメン用にWハンドのフライロッドと、リール、ラインなどを買い揃え、「そういえば、4年前のサハリンの時も新しい道具を買い込んで張り切ったっけ」なんてことを思い出したんであります。
メールでの活発なやり取りと、5月半ばのミーティング、社内公表と万が一の場合の対応指示などをしつつ、実際に荷物をまとめ始めたのは5月の末になってから。
悩んだのは防寒対策と何と言っても釣り道具のこと。釣れるのは大物ばかり(タイメン・レノック・グレーリング)と思い込んでいるので3本のロッドはすべてWハンド、フライも#10以上で#4クラスがメイン。詰めたり入れ替えたり、この時が一番充実していたかも。

 

月11日 土曜日

ようやく出発の日。7:30発のリムジンバスで成田空港第2ターミナルへ。待ち合わせのYカウンターは遥か彼方。
たどり着いたものの、待ち合わせの時間は11時。さすがにどなたもお見えでない。
暫くして星野に携帯をかけてみる。「今Hカウンターの前。そっちに向かってるよ」と出たものの、着くのにえらく時間が掛かりました。大きな荷物を抱えて移動もままならず、時間を潰す。
その内に銀行にお勤めの永井さん登場。早速両替所開設と相成りました。
MJツアーの安達社長が見える頃には、モンゴル航空のチェックインカウンターには結構な列が出来ておりまして、しかも、我々以外にも立派なロッドケースと沢山の荷物を持った一行が居たりして密かに闘争心を掻き立てられたりしましたよ。
心配したチェックインバッゲージの20Kg制限も機内持ち込みの重量チェックも無事通過。したんですが、ボディチェックで私のラジオペンチが没収、その他旅なれた方々はすんなり通過、と思いきや、栄木さんがなかなか出てこない。
後で判明したところによると、スイスアーミーナイフ2本と山菜掘り用のシャベルを持っていて自宅に送り返すのに郵便局を2往復したそうな。
モンゴル航空OM−502便は、満席。定刻に離陸したのでありました。
乗って早速後ろの座席から「あのスチュワーデスきれいだねぇ」と岡田先輩の声。
確かに、岡田先輩が並ぶと先輩の頭が彼女の丁度胸の辺りになりそうな、色白で見目麗しいお嬢さんがいらっしゃいました。
ソウル、北京上空を通って定刻通り僅か5時間で憧れのウランバートルに到着。
こちらは夏時間とかで日本との時差はゼロ。気温13℃と爽やかそのもの。
荷物を受け取って到着ロビーに行くと山中隊長ご推薦、飛び切り美人の現地旅行社ジュルチンワールドツアーのビャンバさんがにこやかに出迎えてくれたんであります。
早速旅行社差し回しのトイレ付きバスに乗り込みまして約30分。
表通りを外れ、いきなりデコボコ道になったかと思うと、日本語で「文化教育大学」と看板のある建物にぶつかって左に行った所にありました、今夜のお宿「エーデルワイスホテル」。

部屋割りは久し振りに星野と相部屋。
荷物をといて夕食は20:40。明日から我々に同行してもらう通訳のイヘエ、ジャギィの両君を紹介してもらう。
まずは、旅行の安全と大漁を祈念してチンギスビールとウォッカで乾杯。
明日の朝は早いので早々にゴートゥーベッド。
外はまだ明るい。ひと風呂浴びて星野と話をしていて、さて寝ようと思ったがときすでに遅し。
今の今まで話をしていた星野君。札幌からの旅の疲れもあるのか、いきなりイビキをかき始め、私は一人モンモンとモンゴルの初夜を眠られぬままに過ごしたんであります。  
アァ。

6月12日 日曜日

5時20分起床。こちらでは夜11時ごろまで明るい代わりに夜明けは遅いようでありまして、まだ薄暗い。
しかも少々寒い中、ぐっすり眠って元氣いっぱいの星野君のWハンドロッドのキャスティング練習にホテル前の空き地で30分ほどお付き合い。上達のほどは申し上げますまい。
バイキング形式の朝食を済ませて表に出ると、なんとTOYOTAのランクルと三菱のパジェロが各2台エンジンの音力強く我々をお出迎え。
それと荷物用にソ連製と思われる四駆のワンボックス。これから二日かけて目的地チョロート河に向けて出発!!
ウランバートルの街を抜け暫く行くと立派な舗装道路になったかと思うと、3号車(細谷兄弟と栄木さん乗車)が突然スピードを上げて我々を追い越し、あっという間もなく視界から消えちゃったであります。
道は草原の只中をうねりながらどこまでも続くんでありますが、一見草しかない様なあちこちに野草が可憐な花を咲かせています。今回の旅は「モンゴル秘境に遊ぶ会」。山中隊長の細やかな気配りのお蔭で、撮影休憩、トイレ休憩がこれまた幾度となく繰り返されたんであります。
そうこうする内に昼食の時間となり、3号車は見当たらないんでありますが、仕方なく道端にあるドライブイン(と言うんでしょうね)らしきお家に入り、さて何を注文しようかなんて考えていると、ガイドの二人が持参のサンドイッチとミネラルウォーターの配給を始めたんであります。場所貸しというご商売があるようです。
13時出発して暫く行くと、道路の向こうからどうも人らしきものがこちらに走ってくるのが見える。
「ン?あれ栄木さんじゃない?」とか言いつつすれ違うと間違いなく栄木さん。
どの車も彼を拾う気配なく、数百メートル先の3号車に集結。
先走りの真相は、栄木さんがけしかけたのではなく、運転手が眠気覚ましのためにスピードを上げて隊列を乱したらしい、ということでありました。
ちなみに、1号車は岡田・山中・ガイドのイヘェ、2号車 星野・永井・赤羽、3号車 細谷兄弟・栄木、4号車 杉山・財津・松村、となりました。
それからまた走ることしばし、草原の中にガイドブックで見た覚えのある城壁のようなものが現れました。
そう、エルデニ・ゾーという寺院群、ここの見学をするんだそうで、入場料はガイドさんが払ったので幾らか分かりませんが、この中で撮影するには一人5ドル必要です。
スターリンがかなり破壊してしまったそうですが、美術・芸術品として幾つかの建物や仏像などが保存されています。

上の写真(エルデニ・ゾー寺院)はクリックすると拡大します

2時間ほどの見学の後は、またひたすら草原をトイレ休憩・野草観察を繰り返しながら走って、今日の宿泊地グレート・カーン・フビライキャンプに着いたのは19時30分。
母屋とゲルが点在するなかなかおしゃれなリゾート、しかも温泉が出ると聞いて、まずそれぞれのゲルでそそくさと荷物を解きました。ゲルは4人部屋。
夕べの反省から提案をいたしまして、「たばこ・イビキ組」と「音無し組」に分けていただいたんであります。
すなわち、第1組が山中・栄木・星野・永井、第2組が岡田・細谷兄弟・赤羽、それと杉山・財津・松村の女性組であります。
この組み合わせはグッドでした。さあ、晩飯の前に一っ風呂浴びましょうとお風呂に向かう。
ここに着ているものを脱いで、おっタオルがあるじゃん、と風呂場に入ると「ん?」お湯がない。
チョロチョロと湯船にお湯が流れ込んではいるものの、膝下位しかなく、しかもぬるい。
我々の到着を確認してから準備を始めた様子。それでも細谷さん兄弟、岡田さんはトライしていましたよ。さすがですね。
なんだかんだありまして、遅い夕食になりました。一日走ってモンゴルらしさを体感しての夕食はこれから始まる未体験ゾーンへの期待も膨らんで、星野さんが持参したウィスキーをあっという間に空にした後、モンゴルウォッカを2本、続いて2本と大いに盛り上がったのでありました。


6月13日 月曜日

6時30分カッコウの声で起床。顔を洗おうと、洗面所に行ったんでありますがお水が出ない。でも、7時になってちゃんと出ました。ここはモンゴル、何でもキチンキチン、セコセコの日本を遥か離れてきた甲斐があるというものですよ。8時お待ちかねの朝ごはん。誰ともなく「スクランブルエッグの色が薄いんじゃない?」の声。ここで栄木さんの講義がありまして、何でも日本の鶏卵は黄身の色を赤く、濃くするために餌を変え、品種改良を加えたもので、このスクランブルエッグの色こそ、天然自然の色に違いないということで皆さんなんとなく納得したような、しないようなお顔をしつつ、おいしくいただいたんであります。9時いよいよチョロートに向けて出発。朝日を浴びながら草原を走り、山火事らしき後の残る山越えをして暫く行った所で3号車がパンク。ドライバーたちの手際の良い連係プレイで瞬く間に大きなタイヤ交換が出来ていくのを感心しながら見ていると、向こうから1台のジープがやって来ました。1号車の運転手がなにやら暫く話していたんでありますが、どうも道を間違えたことが判明。エーッ!?ま、無理もないかぁ。道路標識があるわけでもなく、地図も磁石も持たずにどうやって道が分かるんだろうと思ってましたから。親切なそのジープに先導してもらってほとんど今朝出てきたキャンプの近くまで戻ることに。そんなこんながありまして、とある岩山の下で少し遅めのランチ。


さあ、遅れを挽回するぞぉ、と思ったかどうか分かりませんが、1号車が猛烈な勢いで走り出し、ドンドコドンドコ分かれ道もなんのそのッ!砂埃がひどいのでくっついて走ることもままならず、暫く走って氣が付くと今度は4号車と荷物車がついて来ない。
ケータイは使えないし、無線機もなく、燃料も無駄に使えないということか、只待つのみ。2台は暫くして追いついてきて事なきを得たんでありますが、モンゴルはすごい!色々ありまして、ツェツェルレグという街に到着。
広い駐車場があって、お店に人が溢れて活気がありました。ここでパンクしたタイヤの修理をしたり給油をして出発。
17時30分頃峠越えをした遥か彼方に川らしきものが見え、「チョロート河だ」と色めき立ったんでありますが、なんと、先導車が戻ってくるじゃありませんか。またしても道が違った!で、引き返し、少し戻って集落を過ぎたあたりで今度は荷物車がエンコ。「大丈夫、先に行け」というジェスチャーで進んだんでありますが、振り返るとどうも動きそうもない。
我が2号車の運転手君は日本語は勿論、英語もダメ。あ、いや、我々も英語はダメなんでありますが、、、。
兎に角車を止めて遥か彼方で動きそうもない荷物車をただ見守るしかなかったんでありますが、何とその荷物車が動き出したんであります。
モンゴルの人は逞しい!!しかし、度重なる1号車の突っ走りに、非難轟々。山中隊長もうなだれるばかり・・・。


しかし、19時35分とうとう着きました。キャンプ地は高度約1800メートル、先発隊がチョロート河の支流(小川)のほとりにトイレ小屋、シャワールームと我々の宿泊用のゲルが3棟、そして厨房用のゲルが建っています。
対岸の向こうには遊牧民のゲルと家畜小屋があり、いよいよ、モンゴルの大地に抱かれての生活が始まるんだぁ、とワクワク。
2日かけて来ただけのことがある、我々の4日間のためだけに用意された、キャンプ。
何という贅沢、何という幸せ。しかも、後で分かったことなんでありますが、向こう岸の遊牧民の方々は、我々の乗馬などの為にわざわざ本来は冬営地のここに来てくれていたんですぞ。
小1時間の後、想像もしていなかった品数の多い夕食を賄いのオユナさんが提供してくれて、青空の下豊かに時間が流れたのであります。満腹と、心地よい酔いと、長い影を連れてそれぞれのゲルに引き上げたのは、もうかれこれ、22時30分を過ぎていたでしょうか。
明日は釣るぞ〜!ちなみにこの時期、ここモンゴルでは23時頃まで明るいんでありますよ。


6月14日 火曜日

夜中にトイレに起きる。真っ暗な中で犬が吠え、なにやら鳥の声も聞こえる。
見上げれば満天の星の中を天の川が流れ、いつか渓流合宿で見た星空を懐かしく思い出しました。
6時半起床。いよいよ釣り初日。まだ薄暗い中、それぞれに支度を始める。
朝日は北よりの山から出るので、顔を出すのが遅い。
朝食を済ませて釣り組9人プラス見学・散策の2名で8時45分出発。
15分位走ったところから急峻な岩場を車で下り始める。
4WDの威力発揮。上から見ると水量があり、適当に淵や沈み岩が見えて、いかにも釣れそうな様子に、氣がはやる。車を止めて釣り支度開始。
今回自分はフライオンリーで大物を、とWハンドのフライロッドと、11番のシューティングヘッドのラインを用意して来ていたんであります。
早々と支度を済ませて河の近くに行くと、目の前で「バシャッ」と派手なライズ。

昨日の夕食のとき、朝日はどこから昇るかと議論百出して賭けとなり、勝った人から竿を出すことになっていたのですが、抑えがきかない。
「キャスティングの練習」とか何とか言いながらラインを繰り出す。
2投目を投げ、手前の沈み岩の向こう側をフライが流れたと思った途端、ググーッと強い引きが伝わり思わず合わせるとグングングンと確かな手応え。
これは幸先いいぞと寄せると紛れもなくタイメン!!平静を装いつつも夢中で測ると85センチ。
恐れ多くも支度中の山中隊長を呼びたてて写真を撮って頂く。
快晴で陽射しが強い。一息入れて水温を測ると13℃。

水色は薄濁り。
水量は例年より少ない、という話だが流れは結構きつい。
ここから上下に分かれて釣り開始。
私は同じくフライで挑戦する永井氏と組んで、ウェットフライのセオリー通り釣り下る。
しかし、岸辺まで潅木が迫りオーバーヘッドキャストが出来ない。かといって話題のスペイキャストは練習もしたことがなく、苦しい釣りをすることになる。
実は、前回のサハリンでも両側に樹木が茂っていたり谷間だったりで、思うようにキャストできない経験をしていたんでありますが、「どうしてもフライで釣りたい」の一念を通してのやせ我慢。瞬く間に午前の部終了で12時半に集合。
ルアー組は岡田さん、細谷兄さんがレノックを釣り、細谷弟さんが87センチのタイメン!!

日差しはカッと熱く強烈だが、湿度が低いので日陰に入ればサーッと汗が引く。
空は飽くまでも青く高く、気分爽快。
キャンプに帰ってお昼ご飯。トマト、キュウリ、鳥のスープにご飯、パプリカの海苔巻き、マトンの煮込み、ビーフの煮込み等々盛りだくさんでとても食べきれない。
しかもデザートにスイカまで出てきてびっくり。
家で食べるより遥かに豪勢。青空の下、釣り談義に花を咲かせながらのゆったりとした時間に皆さん満足、満足。意欲満々で14時45分出発。同じポイントに入る。
17時45分、同行の永井さんが#16ドライでレノックヒット、48センチ。ライズに狙いを定めて送り込んでのヒットは、見ている私も思わずヤッタァ!と喝采。
この後、1時間ほどの間に4本のレノックを連続ヒットさせ、私の鬱憤を晴らしてくれたんであります。
他にチョロート初の女性アングラー杉山さんがレノック2本、グレーリング1本をヒット。
岡田さんも60〜70センチのレノックを4本、等々。余りに多いので、釣果は後日まとめてご報告することになりました。

山中隊長、モンゴリアン岡田がフィッシングガイドのバヤサーさん、ボルドーさんに相談して、早速夜釣り組を結成。
山中・細谷壽・星野・永井の4名は夕食もソコソコに就寝。午前3時起床でお出掛けになりました。

6月15日 水曜日

6時50起床。朝の支度をしているところに夜釣り組が意気揚々とご帰還あそばしましたよ。
なんでも、キャンプから5分も走ったところから急な崖を降りて釣り場に入り、真っ暗な中で山中隊長のフライに68センチのタイメンをはじめ、細谷さんがルアーの針伸びで大物をバラし、その上にレノックを2つ、星野もレノックを3、その他バラしもあり「バラしたのは大物のタイメンに間違いなかった」とコーフンの態。 
第2次夜釣り組は直ちに結成されたのでありました。

戦況報告を聞いたりしていて出発は、10時40分。
7,8分走ったところで車を降りて、ガケの上から急な細い道をゾロゾロと下る。
そこから上下に分かれて、私は永井さんと釣り下る。永井さんは、タフですよ。私は、Wハンドロッドを扱いかねてヤケクソ。
その内、ガイドのバヤサーさんが対岸を釣り下ってくる。
見ると30センチ位のひらっぺったい魚(後で確かめたらグレーリング)のようなものをバッシャーンと投げてはリーリングして寄せている。
あんな大きなもので何をしているんだろうと話していると、グァバァッと何かがヒット、彼が強引にリールを巻いている。凄い引きでやり取りしていたが、バラし。
真昼間にあんな大きなタイメンがヒットするとは驚き。
この淵は、あちこちでレノックのライズが見られました。
18時過ぎに納竿してキャンプに帰ると、女性陣と細谷兄、山中さんがモンゴルの子供たちに上げる凧作りに励んでいました。
中でも細谷兄は大張り切りで、走り回っていらっしゃいました。
足踏み式のシャワーはお日さまが水を温めてくれてなかなか快適。お天気が良いので小川で洗濯と、ノンビリ過ごしました。

6月16日 木曜日

いつもより早く4時30分起床。二日連続の夜釣りはガイドさんがもたないということで、ガイドさんが居なくても大丈夫な昨日のポイントに向かう。しかし、私はまたしても空振り。
早朝釣りから帰って、9時に遅い朝食を済ませ、釣りは4人、乗馬が6人の二班に分かれての行動に。
岡田先輩と星野・永井さんに私が加わる。このとき、釣り場に向かう途中の草原でパンク。
手際の良い連係プレイで直ちに交換終了。初日のポイントに入り、釣り下る。
お昼のランチは韓国製?のインスタントキムチラーメンが出たりしてご愛嬌。
16時30分頃岡田先輩の先導で最下流のポイントに向かう。
ここで星野さんが#5のフライロッドで、ドライでレノックをヒット。お見事。
お写真を撮ったり大騒ぎをしている間に、少し上流でルアーを投げていた岡田さんがヒット!タイメン!タイメン!の声に星野、永井が走って行く。
私はくたびれちゃってウェイダーを脱いで日向ぼっこ(暑い!)をしていたんであります。
遠目で見ていますと永井さんが上流に歩き始めたんですが、何やら指先にぶら下がってるじゃありませんか。
イヤな想像が頭をよぎり、急いで身支度を整えて現場に行く。

タイメンを抱き上げようとして永井さんがルアーの針を深く指に刺してしまい、血を流している。
応急手当といっても、バンドエイドしかなく化膿が心配。
暴れたタイメン(84センチ)は岡田さんのニー・ドロップを喰らってお腹が斑点状に出血?
10分以上かかって流れに戻っていきました。 モンゴルのものはモンゴルへ。 
ちなみに岡田さんの道具一式は星野さんのをレンタルしていたそうですよ。ヒットルアーは、デュオ社の遠州シロギス?カラー。
キャンプに戻ると、乗馬組にもハプニングが。
シャワー小屋に驚いた馬が暴れて松村さんが落馬して腰を打ち、痛々しい。
骨には異常がなさそうで、ヘリコプターの出動には至らずということで、一安心。


6月17日 金曜日

いよいよ釣りの最終日。
私も夜釣り組に加わり、総勢8名で3時に出発。二日目に入ったガレ場を下って川に降りる。
真っ暗な中、岡田・星野・栄木さんにガイドのバヤサーさんで上流に向かって歩く。
ここがポイント、というところでルアーの岡田・星野は早速キャスト開始。
しかし、フライしか持たない栄木さんと私は、後ろが暗くて所々樹が生えているので明るくなるまで待つことに。
じっとしていると、ネオプレーンのウェイダーを履いている足の爪先が冷えてくる。空を見上げると天の川、栄木さんと妙にロマンチックになったりしたんでありますよ。
と、暗闇の中から「きたきたっ」と星野さんの声。レノックゲット。リリースしようとするがなバヤサーさんがキープ。
余裕の星野さんが、初日のタイメン以来まったくお魚に恵まれない私に気遣ってネズミルアー付きの道具をお貸し下され、私は氣の進まない振りをしつつキャストすること数回。
来ましたっ!レノック!ここで写真、写真。真っ暗い中ではピントが合わず、ペンライトを点けてようやくパチリ。
山中さんと下に行った永井さんは自製のネズミフライでレノックをヒット、さすが。7時30分納竿。キャンプに戻って朝食。
11時30分。皆さんは最後の釣りに出発。私はスタミナ切れで残留。
腰の痛む松村さんを残して財津さんと二人だけでトレッキングとしゃれこんだんであります。
二人で楽しくお花の写真を撮ったり、小川の生き物を観察したりして、これからいいところ、と思いきや、「パッパァッ」と車の警笛がモンゴルの高原にこだましたんでありますよ。
氣を利かせたというか、お節介というか、好青年のジャギィ君が四駆のガタピシワンボックス荷物車でお出迎えに馳せ参じてくれました。
残念〜ッ!キャンプでの〜んびりしていると、釣り組みが意気揚々とご帰還。
なんと、永井さんはフライで10連発。山中さん、星野さんもドライで管理釣り場のような入れ食いを楽しんだそうであります!
またまた残念〜ッ!!
キャンプ最後の晩餐はモンゴル伝統の羊の蒸し焼き(ホルホグ)料理。
牛乳運搬用のアルミのタンクに、焚き火で赤くなる位に焼いた石と、夕べのうちに捌いたという羊一頭分の肉のぶつ切りを交互に入れ、その間にニンニクと塩を入れていく。
シュウシュウと蒸気の上がるタンクに材料をすべて入れ込むと、ぴっちりと密封してからガラガラと揺さぶった上で、更に火にかけて加熱する。焼ける肉とニンニクの匂いが食欲をそそる。

ホルホグをやっている最中に一天にわかに掻き曇り、冷たい風が吹き渡ったかと思うと大粒の雨が降り始めて、ちょっとした嵐に。
雨が上がるとすぐそこの山に大きな虹が架かり、チョロートの大地が、タイメンが別れを惜しんでいるかのよう。
ドラマだなぁ。
待つこと暫し。ホルホグ料理の出来上がり。
ハイ、お皿を持って並んで並んで。
お肉とスープを盛ってもらう。そうして、こぶし大の石も。
これを両手でコロコロ回したり、具合の悪いところに当てると良くなるとか。
お肉は勿論羊の匂いが微かにするものの、熱々でとってもおいしい。
お酒が進む。
皆さん満足、満足のご様子。


6月18日土曜日

いよいよチョロートキャンプとお別れの朝。
ベッドでぐずぐずしていると、外が何やら騒がしい。出て行くとガイドさんのテントの辺りに人だかり。
デカッ!タイメン!大物の釣れなかった我々のためにガイドさんが夜釣りで上げてきたという。計ってみると115センチ。口がでかい、腹が太い。
1メートルを超すと別の魚のように見える。
まず山中隊長が両手で持ち上げてパチリ。続いて岡田さん、◎◎さん、と結構レンタルが繁盛しておりました。
ひとしきりタイメンに感動した後は「どんなルアーで釣ったの?」と、バヤサーさん手作りのルアーに話題集中。

 

最後の朝食を済ませて、キャンプのスタッフも交えて全員で集合写真を撮ったりしてから8時半出発。帰りは別のルートを通ってツェツェルレグへ。
ここで給油したり、買い物したりの大休止の後、今日の宿泊地であるツェンヘル温泉へ。
14時30分着。
行きに泊まったグレート・カーン・フビライキャンプより一回り大きく、ピチピチギャルのスタッフが大勢でお出迎え。
早速露天風呂で砂塵と汗を流す。いやぁ、
快適、快適。ここは、海抜1860メートル、東経102度39分、北緯47度20分だそうだ。
16時に遅〜い昼食。結構お腹が一杯になったところで近くのゲルを訪問。
今回の企画のもう一つのハイライト、モンゴルの家庭訪問。
「サエンバェノォ」(はじめまして)とこれだけは覚えて置くようにといわれた言葉をおずおずと口に出しながら、チョッと照れながらの笑顔のご挨拶。
小さなゲルに我々全員とゲルのご主人の家族と近所の家族、ヘギィとジャギィ、案内してくれた女性と、肩を寄せ合っての交歓会の始まり始まり。
皆さんが席に着くのを見計らって山中隊長からプレゼントを可愛い女の子に、ゲルのご主人に、男の子に、、、。
続いて、返礼のまずはじめは、「嗅ぎタバコ」での歓迎。お父さん一人ひとりが独自の香りの物を持っているそうで、タバコという言葉から想像していたものとはまったく違っていました。
それを一人ずつ嗅いでは返し、嗅いでは返しを繰り返す。
続いて待望の馬乳酒が出る。時期的にはまだ早く、飲めないかもと思っていた山中隊長は大感激。
薄いヨーグルトに炭酸が入ったような、なんとも形容しがたい味がした。
それをたぷりめのカップになみなみとついで出してくれるが、そうそう飲めない。
続いてはヨーグルト、チーズ、チーズを作るときに出来る何種類かの乳製品、アルヒという馬乳酒から作る水っぽいウォッカ、牛肉と野菜の焼きウドン風の料理、牛乳茶等々が振舞われ、さっき食事をしてきた身にはこたえました。
その間に歌の交換があり、我が栄木さんがこの日の為に練習してきたという「北国の春」を身振り手振りで熱唱。
ひとしきり互いのノドを披露して楽しんだり、折り紙(折り紙の出来る女性が居て一同ビックリ)を楽しんだ後、屋外に出て凧揚げ、キャッチボール、フリスビーで体を動かす。
至るところに家畜の糞がある屋外での凧揚げ、キャッチボール、フリスビーは結構勇気が要りましたよ。

キャンプに戻ってから、今度は馬頭琴のミニコンサート。ホーミーという、喉を震わせて歌う伝統芸能も聞くことが出来ました。
こうして充実の一日が暮れて行ったのであります。


6月19日 日曜日

5時半起床、6時半朝食の後、7時15分に出発。途中、ひたすら広い360度全面見渡す限りの草原と低い山並みが連なる高原で小休止。ここをチンギスハーンの騎馬軍団が西に向かって一気に駆け抜けて行ったのかと思うと感慨も一入。
カラコルムを抜けて道が舗装道路になって暫く走った辺りで1号車がまたしても先行して、荷物車がついて来ていないのに気付く。2号車以下は道路わきに車を停めてどちらかが来るのを待つことに。
20分ほどして1号車が戻ってきたので状況を説明し、荷物車を探しに行ってもらう。
10時半頃戻って来て「ガス欠で給油してから来る」という間もなくまたしても我々を追い越してドンドン行ってしまう。

我々もすぐ出発したかったが、時間つぶしに草がちらほら生えているだけの近くの山に登っていた岡田、杉山、財津さんが慌てて駆け下りてくるのを待って追い駆ける。「ウランバートルまで350キロメートル」という表示を過ぎた辺りで、道の両側につぎはぎの長屋風に一群の小屋が建っている一角に差し掛かる。
そろそろお昼の時間かと思っていると、そのなかの一軒の前で停車。
なんと、入り口には赤いホットパンツ(!)を履いた可愛い若い娘がにこやかに微笑みかけていて、岡田さんならずとも一気に突入!したかったんでありますが、お仲間の淑女方の手前、それらしい顔をしてしぶしぶ(でもなかったか)の態をしつつ腰を落ち着けたんであります。
この女の子、カタコトの日本語を操り我々の注目(かなりその方面の)を集めておりました。

望郷の念を掻きたてられた我々は、お昼をいつもより早めに切り上げて、ひたすら走りに走って16時過ぎには、喧騒のウランバートルに突入。
カシミヤショップでお買い物をした後、デパートに行こうとしたんでありますが、何と17時で閉店。
2班に分かれて片や食品スーパーへ、もう一方は釣具屋さんへ。
ネズミルアーを買ったりしました。
17時半エーデルワイスホテルに帰着。
ホテル前でお疲れ様の記念撮影。

さっそくシャワーでさっぱりしてからレストランに集合。冷たいビールで乾杯!!
いやぁー、全員無事で良かった良かった。
反省会は盛り上がりましたよ。
その内容は後述します。

6月20日 月曜日

朝食後9時にホテルを出て空港へ。
観光帰りの日本人らしい老若男女、日本に向かうモンゴル人でなかなかの混雑。
空港税を支払ったり、空港の売店でお土産を買い込んだり。
チェックインを済ませて中にはいると免税店やスーベニールショップが幾つもある。
しかし、民芸品やモンゴルウォッカ以外にはコレといったものがない。
お土産を探し回りながら考えた。モンゴルのお土産は、あの広大な大地を吹き渡る風なんだと。
自然の中で自然と共生しながら暮らす人々からの贈り物は、ゆったりとした時間の流れなんだと。
例によって、例のEさんは、搭乗手続きでまたまた引っかかったらしいんでありますが、何とか定刻に離陸。
16時には成田に到着。
ここに長かったようであっという間の「モンゴル秘境に遊ぶ会」も解散となりました。

メデタシ、メデタシ。


反省会報告(これからモンゴルの秘境に行く人たちのために)

衣食住について
1.思ったより暖かかった。9月は20℃〜氷点下になるそうです。(日本の3月初旬に相当)
2.着替えは少量で可。(湿気が無いので洗濯すれば、すぐ乾く)
3.怪我のことを考えて打ち身、擦り傷対策が欲しい。(共同装備として救急セットがあると◎)
4.シャワーが気楽に出来なかった。(女性)
5.マムシがいた?
6.大便には虫除け、匂い除けのために砂をかけるようにシャベルがあるとよい。
7.飲み過ぎ(ウォッカは口当たりがよい)にご注意。
8.ゲルは快適。 草原の至る所に羊・馬・牛の糞があるが、臭くは無い。
9.蚊はいない。防虫スプレー、かゆみ止めはいらなかった。
10.我々のためだけに、ゲル・トイレ・シャワーを用意してくれた。
11.害虫・害獣に関してはまったく不安がなかった。
12.女性のトイレ(野外での)には折畳み傘が必携。(日焼け防止、雨にも有効)
13.杉山さんはチョロート河で最初の女性アングラーとしてギネスに登録。
14.星は予想していたほどには見えなかった。
15.食事は充分すぎるくらいの品数と量があった。
16.一日の中に四季があるくらいに変化が大きい。
17.20キロ制限のお蔭で不要なものを待たないで済んだ。
18.車でのツアーでは、時間が予定オーバーになることが多々あった。
19.モンゴルの言葉を勉強してくれば良かった。(英語・日本語がまったく通じない)
  釣り場でのことを想定した会話を勉強しておくべし。
20.地元の家庭訪問をするなら、お土産だけではなく盛り上がる歌や出し物を前以って用意しておくといい。
21.ウェットティッシュ、リップクリームがあると便利。
22.ドライブは埃対策に花粉症用のマスクとのど飴があると良い。

乗馬について
1.落馬の可能性もあることを前提に服装、プロテクター?など準備できると良い。
2.石のあるところがあるので、草地で乗せてもらうこと。
3.そう言っても、乗馬は楽しい。
4.馬は自分の思う通りには動いてくれないもの、ということを充分に意識することが大事。

自然観察について
1.デジカメ、スチルカメラともに、200枚は撮れるような準備が必要。
2.モンゴルの花図鑑はないが、高原植物図鑑とかがあるとおおよその推測が出来て楽しい。

釣りについて
1.釣りのガイドにタバコを一箱上げたら、とても親切にしてくれた。
2.夜釣りには、明るいヘッドランプとLEDランプともに強力なものが欲しい。
3.ウェィダーは、鮎用、ゴアテックスのものが良かった。ルアーの人は無くても可?
4.昼と夜の温度差が大きいので重ね着用の衣類を入れるデイパックは必携。
5.夜釣りは2:30−6:00、真っ暗で寒い。
6.今回のチョロート河は減水気味とのこと。
7.水温は13℃〜14℃。薄濁り。9月、10月は水が澄むそうです。

ルアーについて
1.日本での情報は少ない上に偏っている。
2.12〜15センチ位のプラグ、ジョイント・ミノーが良かった。
3.サイズ・色は何種類も用意した方が良い。(金黒・青・黒・黄)(赤は不調)
4.スピナー(7g〜10g)でグレーリングが来た。
5.思ったほど簡単には釣れなかった。
6.タイメンには、ワカサギに似た色のプラグが良かった。(星野さん持参)
7.1m超のタイメンを釣るなら、竿は強め、ラインはPEの2〜3号。(ガイドは5号)
8.タイメンは気に入ったルアーには2〜3投目以内に出る。
9.ジャークをつけて引くのが良い。フリッピングは小さめが良い。
10.レノックには「ザンマイ」のヤマメカラー10センチが好調だった。
11.ネズミルアーは、夜釣りのみに有効。
12.明るくなったら、通常のプラグ・ジョイントミノーが良い。
13.もしくは、20〜30センチのグレーリングを生餌にして釣ると大物が出る。

フライについて
1.大物狙いでネズミフライをキャストするには、#10番以上のロッドが欲しい。
2.Wハンドは、立ち込める場所も少なくスペイが出来ても難しいのではないか?
3.レノックのライズを釣るには、フローティングの#5−6番に#10−15ドライ。
4.ウェットは不調だった。
5.リーチ系(#2−4)の黒・ピンク等にタイメンがヒットした。

その他のおせっかい
1.出発時、空港で共同ファンドとして各自100ドル拠出し、永井さんにお願いした。
  これは、ガイド・運転手へのチップ、飲み代、入場料などに使用。飲み過ぎ?で途中で若干の追加拠出をした
    が、メンバーは大変助かりました。
2.帰りの空港税は13ドルに値上がりしていました。
3.ウランバートルの空港の免税店・民芸品店合わせて、5〜6店ありましたが、20ドル以上買わないとカードを
    使えない店がありました。

 

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